科学的理由 坂道実験
「重いものを背負うと、坂は実際より急に見える」
これは、ことわざではありません。
ある視覚認識の実験で実際に被験者が体験した不思議な現象です。
ここで知って頂きたいことは、本人が感じているより
実際はそんなに苦しくはないよってことです。
もし、いくら教えても動かない
生徒や部下がいたら
もし、いくらお金と時間を使って
学んでも変われない自分がいたら
まずは彼らの背負っている重荷を
軽くしてあげる事でパフォーマンスがはるかに向上するでしょう。
1. 重いもの背負っているだけで、ヒトは坂道を実際より急こう配だと感じる!
1999年、ロヨラ大学(注釈1)のムクル・バルラらの
研究チームは面白い実験をしました。
130名の学生に協力のもと
バージニア大学の敷地内にある丘の
傾斜を予測して、分度器で視覚的に
表現してもらいます。
被験者には
体重の5分の1~6分の1の重さのリュックサックを背負った状態で
行ってもらいました。
結果は、面白いものでした。
![](https://shineacademy.jp/wp-content/uploads/2021/03/%E5%82%BE%E6%96%9C1-1024x768.png)
研究チームは、身体に負荷がかかった状態の方を対象にもう一度実験を行った
ランニング後の若者や
健康状態の良くない高齢などを対象に実験を重ね、
その度に確証を得ました。
地理的な傾きの認識は、
人の潜在的な生理状態にも影響される!
なぜ、このような現象が起きるのでしょうか?
少し余談だが次のような結果も報告されている。
視覚が潜在意識に潜在意識が行動に影響する最も顕著なないようです。
ここでは、モニターにランダムに映し出される1から9までの数字をタッチして、文字が映し出されてから手を動かし始めるまでの反応時間(タッチするまでの動作時間ではない)を計測していきます。
すると、数字の1の場合、左寄りに表示されたときは、反応時間が短く、右寄りに表示されたときは、示すまでの時間が長くなる傾向が見られました。一方、9の場合は、左寄りに表示されると、反応時間が長く、右寄りだと、短くなりました。
また更に深堀をします、同じ数字を横に羅列して一本の線を作り、その中心を指し示す実験では、2で線を作ったときは、中心より左寄りを指し、9のときは、中心より右側を指す傾向が見られたのであった。
これらの実験結果から、「人間には、『小さい数字は左側に、大きい数字は右側にある』という潜在意識がある」ということがわかりました。
そして、それは、数字を横書きで書く場合、小さい順に左から書くことが影響しているのではないかと推察されます。
右書き(アラビア文字、ヘブライ文字など)の文化では逆のパターンがみられるという報告もあります。
ここまでは、どういった影響を及ぼすのかについて検証
してきました。
2. 心身の重荷をおろせば、見える世界が変わる
私たち人間は、未来を描く動物です。
歩く事1つとっても、無意識に
ゴールに向かった計画を練っています。
とくに状態が悪いときは、
それに応じた速度とエネルギーを
調節しなければ、途中でバテてしまいます。生存本能が働くわけですね。
そのため、生理状態が悪いときには、脳が自動的に道のりを過大認識させ、
より慎重に少しつづ進むように
自動調整するのです。
これは仕事でも運動でも学習でも
すべての行動にあてはまることです。
良いことと分かっていてても、必要だ大事だとわかっていることでも
なかなか手をつけることができない。
手をつけてもすぐに諦めてしまう。
周囲にとっては、
歯がゆいことかもしれません。
でも、それは本人の心身の生理状態のため
はたから見れば傾斜5度程度の仕事や勉強も
傾斜20度の難行に見えてしまい、
慎重になりすぎ萎縮しているからです。
したがって、外からアメとムチで鼓舞しても
あるいはノウハウを教えても
なかなか成果に結びつかないのは当然です。
そこでまず必要な支援は、本人の
心身の健康とエネルギーの改善です。
![](https://shineacademy.jp/wp-content/uploads/2021/03/pixta_45740744_M-1024x700.png)
これにより、心身の重荷から解放され
目の前の課題をより正確に認識が
できるようになります。
そうすると、より良い方法を
学ぶ余裕も生まれ、一気に成果が加速します。
まずは、心身の重荷を下ろすこと。
それに勝る能力開発はありません。
本日もお読みいただき
ありがとうございます。
注釈1 Wikipedia参照
1870年設立のキリスト教カトリックのイエズス会系の私立大学である。大学名はイエズス会創立者・初代総長のイグナチオ・デ・ロヨラにちなむ。大学の本部をシカゴに置いている。男子修道会設立の大学ゆえに創立当時は男子校だったが、1914年に共学となり現在では、学部生の63.2%は女性である[1]。約15000人の学部生・大学院生が学び、卒業生は15万人に上る。6つのキャンパスを有しており、ローマにも1962年に分校を開いている