他人には言えても、自分のことになるとできない!
「他人のことには賢明な助言ができるのに
自分のことになると全然できていない」
このあるあるな現象を
「ソロモンのパラドックス」と言います。
「傍目八目」おかめ‐はちもくに近い意味です。
少し解説を、、、
《他人の囲碁をそばで見ていると、対局者よりも冷静に手が読める意から》第三者のほうが、物事の是非得失を当事者以上に判断できるということ。[補説]「対局者よりも8手先まで見通せる」とする解釈が広く行われているが、目 (もく) は手数を数える語ではなく、地 (じ) (石で囲んで自分のものとした部分)を数える語であるところから、「観戦者は8目分、得をする手を思いつく」の意とする説もある。
特に先生・経営者・作家・コンサルタントなど
人に助言する立場の人は要注意です。
自戒もこめて、この難事の乗り越え方を
みていきましょう。
1.自分を示す言葉を変えるだけで賢明になれる!
2014年 カナダ ウォータールー大学の
イゴール・グロスマンたちの研究チームは
後に世界中に話題になる実験をしました。
被験者は423名。
20歳から60歳まで幅広い年齢層です。
実験の前提として、被験者には現在
恋人・配偶者がいる状態です。
実験開始早々、コンピュータの音声で
次のような質問が流れます。
「あなたの恋人(配偶者)と
あなたの親友が
不貞行為を働いている事実が
判明したとします。
「そのときのあなたの感情と
そこから起きる出来事を
想像してみてください。」
ショッキングですよね。
その後で被験者は、対応するための
思考法(推論)についての一覧表を
7段階で評価してもらいます。
一覧表には、次の特徴をそなえた
賢明な対応や考え方の推論文がならんでいます。
1. 自分の知識の限界を認識する
2.妥協点を探る
3.他者の視点を考慮する
4.将来の出来事の変化を考慮する
「実際にそんな対応している人いる?」
「とてもそんな余裕はないよ!」
「いざとなったらそうも思えないよ!」
「他人事だと思って!」
そういう声が聞こえそうですね。
面白いのはここからです。
そしてさらに、研究チームは被験者を
次の4つのグループにわけて
それぞれ考える方向性を指定しました。
A. 自分の心理的状況になってみる
(自分ごと×没頭)
「私(自分)は何を考えているのか?」
「私(自分)はなぜそれを考えているのか?」
B.友人の心理的状況になってみる
(他人ごと×没頭)
「私(友人)は何を考えているのか?」
「私(友人)はなぜそれを考えているのか?」
C.自分の状況を突き放して俯瞰してみる
(自分ごと×俯瞰)
「彼女(自分)は何を考えているのか?」
「彼女(自分)はなぜそれを考えているのか?」
D.友人の状況を突き放して俯瞰してみる
(他人ごと×俯瞰)
「彼(友人)は何を考えているのか?」
「彼(友人)はなぜそれを考えているのか?」
やっていることはシンプルです。
想像上の出来事を当事者としてみるか
外から俯瞰するか、
代名詞(私/彼)を変えて
表現してみるだけです。
いわば思考のなかで「他人事」にする
度合いでどれくらい判断が
賢明になるかを調べたのです。
考える時間は、【わずか1分】。
しかし結果はおどろくべきものでした。
2.賢明さが、距離感によって比例すると言うことは
最も賢明な推論ができたのは
【他人事】で問題を俯瞰したDでした。
ある意味、問題を「鑑賞する」態度です。
絵のなかの風景になるのではなく
額の外から全体を眺めるのです。
年を重ねると智慧がつくと言いますが、
残念ながら自分の感情的な出来事に
対しては、年の功は通じないようです。
逆に言えば、こうした出来事の
俯瞰化の力が身につけば、
これから先の出来事に、賢明な判断ができるともいえます。
では、どうすればいいのでしょうか?
この点、自分に起こった出来事を
三人称で書いてみる方法もあります。
さらに、自動的にこうした距離をとって出来事を見つめる
思考を身につけるには、やはり「読書」が一番です。
読書は感情移入がおこると同時に
文字からひとつの世界を構築する圧倒的な客観的体験です。
これを繰り返すと、人生の出来事も
広く流れや文脈でとらえることができ
より良い展開を考えることができます。
是非、この実験結果をもとに
自分を俯瞰して物事を考えるクセを身に着けてみてはいかがでしょうか?
最後までお読みいただきありがとうございました。